海外と日本のレタッチ事情の違いとは?

突然ですが昨年に続き、今年もアメリカに行ってきました!
 
昨年行った際にはAdobe本社やGoogleなどを巡ったこともあってそちらの話題がメインの記事を書かせていただきましたが、今回は、昨年も少し触れたのですが…海外と日本のレタッチの違いについて、ちょっとお話してみたいと思います。
 
 
昨年の記事はこちら▼
シリコンバレーのAdobe本社に行ってきました。


 
日本と海外、広告写真の違い


私は普段から化粧品関連のレタッチをすることが多く、海外ブランドの日本版、というお仕事もよく引き受けています。具体的には、既に仕上がったレタッチを日本仕様にする、といったような内容のものがほとんど。(主にアメリカのブランドですが)
 
既にレタッチしているのに何をするの?と思われるかもしれませんが、リップの色を変えたり肌のトーンを調整したり。
 
 
同じブランドの同じシリーズの中でも、海外で売られている商品、日本で売られている商品とでは、カラー展開やパッケージなどが違うことがあります。海外では派手目の色だったものが日本版では少し落ち着いたカラーになっていたり、肌のトーンの方向性も全く違います。アメリカでは多種多様な人種向けにかなり濃い色味があっても、日本人の肌は黄色。さらに一般的に白い肌を綺麗とする傾向が強いからか、濃い色味のファンデーションは全く
販売していない、といった感じに。
 
 
これは特に化粧品広告の場合だと思うのですが、海外用と日本用とでモデルや写真は同じでも、メイクをガラッと印象の違うものにするという修正指示があったりします。訴求ポイントが違うからだとは思いますが、ラメやカラーでギラギラなメイクを、思いっきりナチュラルにしてくれ、といった無茶振りもしばしば…。

 
 



肌はツルツル!が当たり前なのは日本特有?

日本の雑誌や街頭で見かける化粧品の広告って、基本的に映っているモデルはみんな肌がツルツルですよね。きっと、誰もそこに疑問すら持たないと思いますが、駅などで大きく貼られた広告を見ても、化粧や照明で肌がシミひとつなく綺麗だったり、もしくは元々の肌が綺麗かのように見えるもの (ほぼレタッチが入っていると思ってくださいね)、がほとんどかと思います。
 
でも海外の場合。シワは普通に残っているし、毛穴も結構目立っている広告、結構あります。
 
 
例えばこちら。某ブランドの化粧品広告の一部です。いずれも、英語版サイト、日本語版サイトから引っぱってきたものですが、肌色、レタッチの仕上げ方、全然違いますよね?
 


  
 
 
US版にあるこの口元のシワや目頭や涙袋の小じわ。ご覧の通り、日本版では自然に綺麗になっています。私のこれまでの経験からも、日本ではこのまま残しておくなんて、まずまずありえません…。さらに、肌色も日本向けに白っぽく綺麗になっています。
 
 
一応、語弊がないようにしておきたいのですが、綺麗にレタッチされている広告も海外にもたくさんあります!(笑)

 
でも実際にアメリカのデパートやドラッグストアなどで化粧品売り場をチェックしてみると、意外にも日本のように執拗にレタッチしている、という化粧品広告はあまり見かけません。

 
日本でも数年前からナチュラル志向のレタッチになってきたとは言われていますが、アメリカのようにはいかないみたいで…様々な事情により、日本で展開するためにツルツルにする、といった仕事を引き受けることが結構多いのが現状です。
 
 


 

ファッション誌の違い
 

レタッチのみにフォーカスしましたが、そもそも。ファッション誌のあり方も大きく違うように思います。
 
今回アメリカで、US版のVOGUEとBAZAARを買ってきました。日本でも書店に行けば購入出来るので(めちゃくちゃ高くなっていますが…) 見たことがあるかもしれませんが、海外の雑誌って、紙質からボリューム、内容も結構違います。
 
 
日本の方がサイズも大きいものがほとんどで、紙質もよくてページ数もほぼ倍。比べると一目瞭然!一番上が日本版VOUGEです。
 

 

 
  
日本の場合、とにかくたくさんの流行や最新の情報、占い、特集、コーデ案やメイク提案などなど。しっかり ”読み物” として成り立っている印象があります。付録つきのものも今では当たり前ですし。
 
でも、海外の雑誌ってそうでもなくて。
 
ファッション × モデルやタレント、アーティスト × フォトグラファーでコラボのような写真集みたいなページがあったり。情報だらけの日本版に比べて読むより見て楽しむもの、といった印象があります。
 
VOGUEに関しては昔、一度見比べたことがあるのですが、イタリア版、イギリス版、アメリカ版、フランス版、いずれも日本とは全く異なる印象だったのを覚えています。
  
  
そういえば、同時期の海外版雑誌をいろいろ見比べることで撮影の流行り、みたいなものも見えてくると教わったことがありますね。
 


 

私の場合は完全に職業病的ですが。。海外に行くとついつい、広告や本屋で雑誌などをチェックしてしまいます。
 
写真だけでなく色づかいなども含めて結構お国柄があって面白いので、デザイナーさんなんかは、配色とかも結構参考になるかもしれないですね。というわけで、もし海外に行くことがあったらぜひ、広告などをチェックしてみてください^^

kotsume 🙂 


>> kotsumeのインスタはこちら🙂

ps-holic

6件のフィードバック

  1. はじめまして!高野あやめと申します。
    レタッチャーを目指しており、kotsumeさんのブログ拝見させていただいております!!

    現在はフリーランスで活動なさっておりますが、プロフィールの、広告業界のレタッチャーを経てというところを拝見し、質問させていただきたく、コメント致しました。

    レタッチャーアシスタントとして会社に入った場合、
    ①まずどのような仕事から入っていくのか
    ②会社によって細々した作業のやり方は変わってくるとは思うのですが、基本的にできたほうがいいこと(photoshop関係で)や、学んでおくべき知識
    などあれば、是非お聞かせ願いたいです!

    ちなみに私は、大学は写真学科を卒業しており、自己作品の作成時に、photoshopをいじることはあるので、簡単な操作は行えます。
    しかし仕事としてしっかりとした手順で、ということが今までにないので、入社したらアシスタントはどのような流れで、仕事をするようになるのか気になっています。

    実は先月、主に広告を扱うレタッチ会社に就職が決まり、アシスタントとしてスタートすることになったのですが、ちょうどコロナの関係で、仕事始めがコロナが収まってからとなってしまいました。
    そのため、会社の方と言っても、事務の方しかやりとりをしておらず、仕事内容について細かいことを聞けていない状態です。
    そこで、実際に、レタッチ会社でご経験のある方に実際はどのようにスタートしたのか、お聞きしたいと思いコメントいたしました。

    長い文となってしまい申し訳ありません。
    お時間あるときに、返答いただけたら幸いです。
    何卒、宜しくお願い致します。

  2. 高野 あやめ 様

    初めまして!ご返信が大変、大変遅くなりまして申し訳ありませんでした!!!
(言い訳ですが。。昨年出産したばかりで子育てに奮闘しており、全く余裕がありませんでした…泣)

    コメントを頂いてから随分と時間が経ってしまいましたが、その後状況は変わりましたでしょうか?

    コロナの影響でお仕事始めのタイミングが遅れていらっしゃるとのことでしたが、もうすでにレタッチャーとしてのキャリアはスタートしているのではないかなと思います。(コメント気づかず、本当にごめんなさいT-T)

    実際にどこから始まるか、というのは高野さんがお持ちのスキルによって、会社によってもそれぞれかと思います。私の場合は先輩が作業する前の下準備、ひたすらマスクを作成したり、簡単な肌レタッチ、といったところからスタートしました。

    もう実際に働いていらっしゃるようでしたらお答えする必要もないかもしれませんが、基本的なスタンプツールが使えたり、レイヤーマスクが操作できたり、そういったことがわかっていれば、あとはもうひたすら現場で覚えることがほとんどかと思います。私自身も会社入社したときは学校で勉強した程度、全くの初心者でしたが、そのとき出来るところから教えてもらった記憶があります。

    もうこのブログにコメント頂いたことも忘れていらっしゃるかもしれませんが・・
    入社されてその後、順調にアシスタント業に励んでいらっしゃることを祈っております^^

    kotsume 🙂

  3. はじめまして。NYでフォトグラファーをしています。仕事はほぼ100%商品撮影です。10年間レタッチを担当していた相方がリタイアで緊急にレタッチャーを探しているところでkotusumeさんのブログを見つけました。もしレタッチの仕事をフリーで請け負えるなら連絡頂けますか?宜しくお願いします。

    • 溝井 さま
      初めまして。コメント頂きありがとうございます。商品撮影のレタッチとは、具体的にどのような内容ですか?
      (一旦コメントへの返信という形を取らせて頂きますね、ご了承ください)

  4. 初めまして、isamiと申します。PhotoshopやIllusurator歴9月の初心者です。
    6月前にkotsumeさんのUDEMYの講座を3講座購入し、Photoshopをある程度理解できるようになってから、視聴しようと思っていました。
    そして昨日、今日で2本見ました。
    大谷キミトさんやお父さんスウィッチなど有名なブログ、ユーチューブで紹介されているレタッチ手法を頭に入れた上で、kotsumeさんの講座を視聴しましたが、めっちゃ感動しました。肌の補正やobjectの陰影のつけかた、髪の毛の切り抜き方などプロの現場目線で解説されていて本当に勉強になりました。(余談ですがkotsumeさんの声がいいですね。)
    Adobe Photoshopは余りにも多機能すぎて、何を選択したらいいのか、初心者はまずわからないです。とてつもなく深く迷います。その意味で、チュートリアルとして、これまでユーチューブのおとうさんスウィッチを何回も視聴しましたが、その甲斐があったのか、中級者を対象としたkotsumeさんの講座はスーと頭に入っていきました。
    そして改めて、kotsumeさんの講座に感激しました。すばらしいです。
    2021年はkotsumeさんの講座を何回も視聴して、そして、実践して、クリエィティブな世界を身につけたいと、わくわくしております。
    kotsumeさんも育児で一番大変な時期だとは思いますが、一方でkotsumeさんの新たなレタッチの世界を紹介していただければと思っております。(上級者編やスッピンから化粧を施すデジタルメイクの講義などどうでしょうか。)
    復活したブログ楽しみにしております。

    • isamiさま

      初めまして、ブログへ足を運んでいただき、そして講師冥利に尽きるような温かいコメントまで頂き、とても嬉しいです!今年もまた新しいコースを出せればとは思っておりますが、気長に待って頂けたらと思います。(新コースのご提案もありがとうございます^^)

      引き続き、私のコースがスキルアップのお役に立ちましたら幸いです。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!

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